認知症を発症し進行してしまうと、離婚の手続きはとても複雑になります。
認知症患者の意思は、世間的には病気により判断能力が信用されないので、言葉は悪いけど「無効」です。
銀行口座が凍結されるし、そこまでの処置じゃなくても自由に自分の預金を引き出せません。これはある宗教団体への巨額の寄付が問題になったからかもしれません。本当にその行為は自分の意思なのかと、初めて会う銀行員はその判断が難しいから、一律「NO!」という対応になるんでしょうね。なんなら、認知症じゃなくても「高齢だから」という理由で手続きができなかった、という人を知っています。
生命保険への加入も認知症初期の初期なら、加入が可能な保険もあるみたいですが、進行したらできない事が多いです。
認知症は「判断能力が低下する」病気だから。
認知症初期で双方の合意があると認められれば、離婚は成立します。でも進行すると離婚意思そのものに疑いがかけられ、二人の意見だけでは離婚できません。認知症患者側に後見人を立てないといけません。
自分であるいは家族が後見人を雇うか、裁判所に申し立てて後見人を選定してもらうか、どちらかの対応が必要になります。その後の手続きがよくわからないんですが、後見人はその患者のために離婚訴訟を起こして、協議離婚か裁判離婚かになる、ということらしい…。
めっちゃ複雑な手続きみたいです。記事を読んでいるだけで諦めたくなりますよ。
実は母が、認知症初期から混乱期に移行しようとしているくらいの時に、聞いたことがあります。
「お父さんと離婚したい?」って。
母は黙ってました。そこでわたしは「そうねえ、離婚せずお父さんには色々お金出してもらわないとね。」というと、母は「うん。」とはっきり言いました。
今思えば、父の一度目の浮気の時、わたし達姉妹の生活費・学費のために離婚しなかったみたいに、離婚して娘たちの負担になるんじゃないか、って考えてくれたのかもしれません。
まあ、わたしの勝手な想像ですが。
とにかくどんなにひどい目にあっても「離婚しない」事が母の意思だろう、と思ってます。わたしは離婚させたかったですけどね。母の意思を尊重します。
認知症の人の意思って、世間では軽視されがちだから。
みなさんの家族が認知症の初期の段階なら、今のうちにたくさん話しておいた方がいいと思います。離婚に限らず、いざという時に「どうしたいか」を。