認知症が進行すると、できなくなる事が増えていくから、できる事はさせてあげないと、すぐにやり方を忘れてしまうと思っていました。やらなくなったら、それはもうできなくなったんだと。

でも逆の症状もあります。できるのに、やらない。それを「子ども返り」というそうです。できなくなったのかと思いきや、できるのに甘えて、やってもらいたいだけなんだそうです。

ゼリーを食べさせてもらっている母の画像
自分で食べれるのになあ…。

他にも、母はちょっと形の違うこども返りをしてました。

あれしよう、これしよう、っていう具体的な指示が通じなくなった時、擬音語を使った指示なら通じました。例えば、「上着、着て」とか「上着に腕を通して」って言っても通じないのに、「ここにチューって手入れて」と言うと、自分で「チュー」と言いながら、上着の袖に手を入れて着てくれました。こどもみたいでしょ。

ひな祭りの吊るし飾りの前でダブルピースをする母の画像
子どものような表情だと思いませんか。
作る途中の折り紙を持って、カメラにピースする母の画像
折り紙に集中してください。

「いちに、いちに」と自分で言いながら、階段を降ります。

「おかあさんといっしょ」を楽しそうに見てたし、出演している子ども達の真似して体を動かしていました。施設でもよく踊っていたそうです。

近い過去から忘れていって、子どもの頃の記憶が鮮明になるからでしょうか。

回想法っていう脳活性化リハビリテーションは、残っている記憶を掘り起こして、語り合う事で、脳を刺激するんだそうです。昔の話をし出したら、その話を聞くだけでもいいし、話し出しやすくするために、懐かしがるアイテムがあるといいそうです。

懐かしがるアイテム…? 母の部屋にお手玉を置いたりしたんですが、何か語るって事はなく、お手玉で遊んでました。なんか、ちょっと違ったみたいです。母の子どもの頃って、どんな感じだったのか、わからないもん。何を用意すればよかったのか、何の話をすればよかったのか…。「どうせコレが懐かしんでしょ」っていう勝手なイメージしかできないもん。すみません。