朝、母を小規模多機能型居宅介護施設へ送り出してから、出勤。

夕方、母が帰って来る前に帰宅。

休みの日、母が家にいればわたしも家でたまった家事なんかをして過ごし、母が通いのサービスで出かけている間だけ外出します。

そんな生活を5年。母は落ち着いていて、小規模多機能型居宅介護施設へ出かけるのを楽しんでいました。だから油断していたと言えば、そう、なんですが、5年ぶりに母を見失いました。

母がひとりで外に出ないように、24時間ちゃんと見ておいてください、と警察に言われたけど、そんなの完璧にできるわけありません。目を離す時間は必ずあります。朝、出勤の用意で、着替えたりメイクをする時間とか。夜、お風呂に入る時とか。わたしがトイレに入っている間とか。もちろん寝ている時も。耳をそばだてながら、なるべく短時間で済ませるようにしていました。

いつものように、朝、メイクをするため母から少しの間、目を離しました。わたしのメイクなんて10分もかかりません。そのほんの少しの間に、母がいなくなりました。

久しぶりに緊張しました。そんなに時間は経っていないので、近くにいるはず。だけど探す方向、道を間違えれば、ドンドン母は遠ざかります。

小規模多機能型居宅介護施設の送迎車が来てくれる道。病院に行くためにタクシーに乗り込む場所。時々散歩する道。どこにもいません。いつもは行かない道を行ってる?

いつもの時刻に、小規模多機能型居宅介護施設の職員が迎えに来たので、母がいなくなった事を伝えました。そしてそれぞれ違う方向を、一緒に探してもらいました。

職場には遅刻すると連絡をしました。この時はすでにブラックじゃない会社に勤めていました。理解のある会社でよかったです。

その内、すぐにもう一人職員が駆けつけてくれて、その人は車で車道沿いに探してくれました。ものすごく遠くまで歩いて行っている可能性を考えて。うちの周りには、車が入れない狭い道がたくさんあるんです。

そしてその職員が、車道脇で見つけてくれました。

母が家を出てから10分も経たずに探し始めたのに、見つかるまで1時間弱かかりました。わたしの予想外の所で。近しい家族の思い込みだけで、探すと見つからないもんです。

あーもー焦った。ドキドキした。こんな緊張状態「もうやだ」って、がんばってきたんだけど、ダメでした。

続く