施設では、楽しそうに過ごしてる母ですが、家での暮らしは何も変わりません。相変わらずピリピリムードです。
認知症の症状として、あれがない、誰かが盗った、と騒ぐという周辺症状があります。「物盗られ妄想」というらしいです。アルツハイマー型の43%の人にあらわれるそうです。日本特有の傾向だそうですよ。どうしてでしょう? 経済的に苦労した経験から、「また苦労したらどうしよう」とずっと不安を抱える事になるからこその妄想でしょうか? アルツハイマー型は女性に多いし、経済的に自立していない日本女性だからこその症状かもしれませんね。
「盗られた」のは、認知症の人にとっては真実なので、否定してはダメですね。似たような財布に少しお金を入れておいて、「あっちにあったよ。」と渡してもいい、と本に書いてありました。その場合にあり得る反応は、「やっぱりあんたが盗ったんだ。」と思われる事。「ごめんごめん。返すから。」と謝って受け流すのがいいらしい。
演技には、小道具も必要なのですね。
本に書いてあった事をそのまま言ってますが、母は人が盗ったと言って騒ぐという事がなかったんです。いつも、引き出しの中を全部出してみたり、1回片付けてまた全部出すのを繰り返しました。たぶんなくなった物を探していると思うんですが、人のせいにして騒がなかったのはどうしてか。
それ以上に騒ぐ人がいたからかもしれません。そう、父です。
父はよく物を失くします。失くすというか…アア、
例えば帰宅して、腕時計を決まったタイミングで、決まった場所で外し、決まった所に置く、という事を父はしません。外したくなったタイミングで外し、その場に置きます。なので、毎回、腕時計を置いている場所は違ってきます。そして、それを忘れます。(認知症?)
次の日、腕時計はどこかと、大騒ぎします。失くなった、と。
知らないよ。もちろん、母が知っているはずありません。父がどこで外したかなんて。
なのに、母は認知症なので、「お前、またどっかにやっただろう。どこにやったか覚えてないんだろう? ボケてしまったからな。」と責めます。母が認知症になる前は、わざと隠したと言ってました。(どっちが認知症?)
「探せ」と、毎回言います。(お前がまず探せ。)
自分で探してもなかったから、人に聞くというわけじゃないんです。自分では探さないんです。大体あるんです、本人の部屋に。部屋のどこかまでは、わたし達がわかるわけないじゃないですか。
父は認知症ではありません。元々、何でも(本人のせいでも)他人のせいにする性格なんです。
こんな父が、反面教師となったんでしょうか。母が失くなったと思う物を、徹底的に自分だけで探すような行動を繰り返すのは。
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